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政務活動費なんか要らない

2014.7.11
執筆者:上原 智之(ウエハラトモユキ)

 

■不適切な政務活動費の遣い方を認めた議会事務局に責任はないのか

 兵庫県議会議員の大号泣記者会見が、日本はもとより世界中の話題となっている。

 不透明な政務活動費の遣い方が問題となっているのだが、記者会見で号泣し、何ら説明もできていないことに対し、議員としての資質があるのかどうかも問題になっている。今回の号泣記者会見を受けて、マスコミはこぞって議員の不透明な政務活動費の遣い方をとりあげている。

 たしかに議員の費用の遣い方がおかしいのは言うまでもない。ただ、今回問題になっているのは、議員の過去数年にわたる政務活動費の遣い方であり、議員がおかしな政務活動費の遣い方をしていたとするのなら、毎年それをチェックしているはずの議会事務局はなぜそれを認めていたのだろうか。議員本人に責任があるのは当然ではあるが、それをチェックしてきたはずの議会事務局はなぜ責任を問われないのだろうか。不思議でならないのは、そうした点を指摘するマスコミがほとんどない点である。

 

■「政務活動」の名を借りた選挙活動に公費を使って良いのか

 では、今回のような政務活動費の不適切な遣い方は他にはないのだろうか。

 残念ながら、議員活動の現状をみると、政務活動というのは名ばかりで、ほとんど本来の意味での政務活動には遣われていないというのが実態ではないだろうか。代表的なものが、「政務活動」の名を借りた「事前の選挙活動」に政務活動費の多くが遣われているという現実である。

 本県の県議会議員の活動費を見てもわかるように、政務活動費として遣われている費用で大きなウェイトを占めているのが文書関連の費用である。多くの議員が「県政報告」などの名称で、年に1回あるいは数回、本人の議員活動等に関する文書を支援者もしくは選挙区の住民に対して無償で配布している。

 しかし、その内容をみると、自分はどんな質問をしたとか、県議会の代表質問や一般質問の概要等を紹介するだけであり、到底、政務活動の一環とは言い難い内容なのである。「県政報告」という名を借りて、「私はこんなにがんばっているんですよ。」というPRをしているに過ぎず、議員の広報・宣伝活動に過ぎないのである。こんなことに対する支出が政務活動費として認められているのが大問題なのである。こうした活動は現職議員の次の選挙に向けた広報・宣伝活動に過ぎず、こんなものを「政務活動」などと呼ぶのはちゃんちゃらおかしいのである。

 もうひとつ、政務活動費の遣われ方でおかしいと感じていることがある。それは、本県の自民党県議団の政務活動費の遣い方である。本県の自民党県議は政務活動費の一部を県議団に拠出する仕組みとなっている。県議団が政策に関する調査研究に遣うのであればそれは良いのだが、実際は代表質問を書く人を雇う費用等に遣っているのである。雇われた人が代表質問をきちんと考えるのであればまだ良いのだが、実際は県庁OBを雇い、県庁に代表質問のネタになることを取材するのが主な仕事なのである。これの一体どこが政務活動なのだろうか。

 

■議員を一層甘やかすことになった政務活動費の制度改悪

 現在は「政務活動費」となっているが、従来は「政務調査費」と言われていた。「政務調査費」と言われていた時には「調査研究」が費用の対象となっていたのだが、それでは使途が限られ、議員にとって使い勝手が悪かったのだろう。現在の「政務活動費」に改正され、改正の段階で費用の対象が「調査研究」に加えて「その他の活動」にも拡大されており、議員にとって使い勝手が良い制度に変更されたのである。

 しかしながら、本来こうした制度が作られた背景としては、議会の政策立案機能の強化が求められており、議員が行う政策立案のための調査研究には資金が必要だったからである。そうした本来の目的から大きくずれている現在の政務活動費のあり方は、根本から見直す必要があるだろう。

 

■政務活動費の使途は政策の調査研究に限定した運用を図るべきである

 政務活動費はあくまでも政策を立案するために必要な経費なのである。しかしながら、現在の政務活動費の使途をみると、「第2の給与」と揶揄されるのも仕方ないとしか言えない。このままでは「政務活動費」はなくても良いと住民に思われても仕方ないのではないか。

 そうした事態を避けつつ、本来の制度創設の目的を実現するためには、「県政報告」のような議員の広報・宣伝活動などは費用の対象とせず、厳密に政策立案のための取り組みに限定して使用できるように、運用の改善を図っていくことが必要なのである。

 そうしたことさえもできないのであれば、「政務活動費」はまったく意味を持たず、必要ではない経費なのである。

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